3年前に日本を出た時、それこそ3年間くらいは日本に戻らないだろうと、決意というほどではないけれど、何となく思っていた。
ところが蓋を開けてみれば、家族が急病だのトラブルがあっただの、友人だの後輩だのが結婚式だの、割と大きなイベントが頻繁にある。いい意味でも悪い意味でも「そりゃ駆けつけなきゃいかん!」と理由をつけて、今のところ平均すると半年に一回くらいは帰っている。
航空券代は高いけど、背に腹は変えられない。お金を貯めるのに一生懸命になることは、自分の性に合わない気がするので、「ちょうどいい」くらい残して、あとは使ってしまうことが多い。
そのノリで、今回の旅程の前半は赤坂やら有楽町の良いホテルに泊まってみた。14時間飛行機に乗った後に狭いビジネスホテルに閉じ篭るより、100倍くらい身体が楽だということを、ついに発見してしまった。寄ってたかって荷物を持ったり他人が世話してくれるのが、これほどありがたいとは。そしてタクシーの便利さよ。
後半は普段どおり、駒込だの柏だののビジネスホテルに滞在したのだが、今回泊まった二箇所はいずれも駅からも近くて、とても良かった。だけど、最初の3泊くらい贅沢するのは悪くない。東京来たって感じがするし。
そんな感じなので、お金は全く貯まらない。
*
今回はVISAの更新やら、大学へ行ってセミナーなどと、割とやることが多かった。
それに加えて、人と会うのが好きなので、大体いつも時間が足りなくなる。1週間強のスケジュールに目一杯詰め込もうとすると、3時間ごとに人と会う、みたいなスケジュールの日も出来る。(それでもまだ足りていない。今回会えなかった方達、次こそは!)
いつもは一度に大人数で会う日を作るのだが、そうすると一人一人とはゆっくり話せない。なので、今回はそれは止めて、小分けのスロットを用意して、会いたいと言ってくれた人と会えるようにしてみた。
正解だった気がする。この歳になると、みんなそれぞれ少なかれ大変な思いをしていて、少人数になった時にポツポツ話してくれる言葉を何とか拾えたのが嬉しかった。そんな感覚、おこがましいかもしれないが。
一瞬の時間に身を置くために、色々な場所を随分飛んで回った。今日は楽しかったけど、大変な日常がそれでも続くんだろう、次はいつ会えるだろう?みたいな、どうにもはっきりした色にならない気持ちを抱えて電車に乗った。
毎回そんなことをやっているので、東京が益々自分にとって特殊な響きのある場所になりつつある。他人と一時交わって、また別れていく地点みたいな感じ。それもひっくるめて、たまらなく好きな都市なのだが、たぶん今までもこれからもずっと、私は「外の人」として東京を好いているような気がする。