先月末、Harvardのラボに移ってから3回目の研究報告をやった。未だに英語でプレゼンするのは嫌なのだが、見せたいデータがあって他の人の意見を聞きたい場合はなりふり構っていられない。
で、その3回目のプレゼンで使うスライドを作るのに、きちんとした図をpowerpointなりイラストレーターなりで作る時間がなかったので、手書きの簡単なイラストを携帯で写真に撮ったものを代わりに使ったら、思いがけず、えらく評判が良かった。ボスからは「OHP時代を思い出すわ〜」というノスタルジックな意見を引き出した。
イラレで時間をかけて作った図よりも周りの反応が良かったので若干複雑な気分だが、モデル図とか主張のお供に使われる絵には説教くささが伴うので、手書きにすると目にした人の気持ちが和んでストレスなく見てもらえるのかもしれない。
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うちのボスは本当にすごい人なのだが、歯に衣着せない物言いをするので周囲をビビらせてしまい、私から見るとかなり損をしている。本人は別に気にしていないと思うが。
彼がしつこくこだわることは、私が気になることとも一致していることが多いし、私も他人の出したデータに対しては大概批判的なので、特にストレスは感じない。
たまに英語が理解できないので、そもそもきつい批判をされているのか何なのか良く分からない時もある。感覚が合わないポスドクだと辛いかもしれない。人との組み合わせって、つくづく不思議である。
そんな(英語では He has a strong personality. という)ボスなのだが、たまに愛犬(すごくかわいい)をラボに連れてきて、昼過ぎに中庭を散歩させている。
オフィスとラボは犬用の低い柵で仕切られていて、床には愛犬用の水飲みとおもちゃがいつも転がっている。彼はその空間の真ん中で、眼鏡をかけて猫背でPCに向き合って仕事をしている。ミーティングでは缶コーラを飲み、プレーンのドーナッツを必ず選ぶ。
こういうチャーミングなところを自分のボスに見つけられるのは、ラッキーなことだと私は思う。