たまには自分の研究の話。
なぜならば、ここは私の個人的なブログなので、一本の論文を出すのに何故これだけ長いことかかっているのかブツブツ呟こうが、私の株が下がる以外におそらく誰にも被害は及ぶまい。
あと、ちょっと炙り出したいものがあるので、敢えて書き出して頭の整理をしてみる。
端的に言うと、最後のFigureを仕上げるにあたって、とある壁を乗り越えなくてはならないのだが、一人で頭を使うのが面倒くさくて、現行のプロジェクトにばかり時間をかけているうちに数年が過ぎた。
↓とある壁
あ、混乱のあまり、なんか混じった。
3年前に始めたRNA-seqの”少し特殊な”解析だが、2014年当時は(おそらく今も)いわゆるスタンダードがなくて、未だに色々なラボが「こういう解析方法が良いと思われる」という論文を出している。
それらを解読するにあたって必要なのが数学・統計の知識なのだが、散々苦労した挙句、特にアップデートが頻繁に繰り返されるような分野に片足突っ込む場合は、専門家にコラボをお願いしたほうが圧倒的にストレスフリーだし、出すデータにも解釈にも自信が持てる、という結論に至った。私がアホなだけかもしれないが。二項分布と負の二項分布の区別、そしてベータ二項分布すら知らなかった私には荷が重すぎる。
じゃあ、私はどうやって共同研究相手を見つければよかったのだろう?当時の私の努力不足?理研時代を振り返るけど、今でも見つけられる気がしない。生物(ていうかNGS)にも通じている統計の専門家なんて、周りにいただろうか。
シカゴにいた時、前ボスに「そっから先はmath(数学)だ!大丈夫、コラボ相手を見つけるのはそんなに難しくないよ。」と言われたことがある。
まぁ、彼は、「最近、泳ぐのに良いトレーナーを見つけたんだ。XX州の元チャンピオンなんだけど偶然知り合った。」とかいうのをさらりと頻繁にやる人だったので、全く参考にはならないかもしれないが。
つまらない結論だが、なんだかんだで(1)既に共同研究先が確立している(2)研究室同士の垣根が低い(3)ボスのフットワークが軽い、などなど、共同研究が生まれやすい環境にポスドクとして身を置くのが一番なんだろう。私の今いるラボはかなり内向きだが、Kの所属先はまさに(3)で、サクサク共同研究が進むので見ていて面白い。
そうそう、あと、コラボ相手を見つけるにあたって、おそらく大事なのは「一体何が原因で自分の研究が行き詰まっているか」を言語化することだ。そして割とこれが難しい。「なんだか良く分からないけど上手くいかないんです」という状況に陥っていることは多い。
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全然、本題と関係ないが、久々に元同僚のS(ドイツ人)と話したら、「最近、日本の良いバンドを見つけた」という。メジャーどころかねぇ、なんてバンド?と聞いたら「Kinoko Teikoku?」とか言ってきた。一体どこで見つけてきたんだ…。
ちなみにSが今いるラボには統計のスペシャリストがいるらしい。
分業が進むと全体を再現できる人が誰もいなくなる気がして気持ちが悪い、と思っている自分もいるのだが、そんなこと言って論文が出ないほうが、お金の無駄遣いだわな。