アメリカの独立記念日July 4thと都民ファーストが頭の中で混ぜこぜになって、July 1stだの都民フォースだの言って日曜日は過ぎていった。
代表ねぇ…。
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土曜日の朝は目を覚ましてまず、「首相の演説の場に籠池氏が現れた」というニュースをtwitterで見かけて、とても一人では堪えきれなかったので、幸せそうに寝ていたKを無理やり叩き起こして(すまん)道連れにした。話題作りにしたって面白すぎた。
その後、買い出しのご相伴にあずかる。こっちではなかなか食べられないホタテの貝柱とイクラ、そしてマグロの切り身を入手し、ネギとナスの味噌汁を作り、白米のご飯を炊いて昼食。
昼食後の会話。
Kは、「公用車に乗せるくらい構わないって思う」「それで良い仕事をしてもらえるのなら」と言う。
私は、「公用車に乗せるくらい構わない、と思いたい」「それで本当に良い仕事をするのなら」と微妙に反発する。
お察しの通り、「衆院議員がその子供を議員会館内の保育所に預けるために公用車に乗せていた」一件。(いくつか報道があるが、ここではこの一件にしぼる。)公用車の運用ルール上は問題はないそうだ。問題視するほうがおかしい、こんなことを記事にするなという強い意見もネット上で見かける。
でも、わたしは、議論のきっかけを作ったという点で、報道された意義はあるのではないかと思う。「どうやら世間は賛否両論である」という現実を踏まえて、したたかに老害を駆逐する方法を模索していかなければ世の中はなかなか変わらないだろう。
さて、この一件について自分なりの意見を固めたいのだが、かなり葛藤している。意地の悪い私はどうしても頭の中で、ベビーカーを押して徒歩通勤する人たちの横を議員とその子供を乗せた黒塗りの車がさっそうと過ぎ去っていく風景がちらついてしまって、「記事にした週刊誌は何て無意味なことを」と、ストレートに怒れない。
問題視するほうがおかしいと、私も心の底から思いたい。議員さんに、「驕るな、一般市民と同じように歩いて苦労を共にしろ」なんて言うのはおかしい。大変なほうを標準にするのは絶対に間違っている。何の得にもならないし、誰も幸せにならないじゃない。
でも、私の中にあるこのもやもやした不公平感、どう処理したものか。
で、大変じゃないほうを標準にする方法を考えてみる。保育園が自前の送迎バスを持つのが難しいなら、Uber Poolみたいな相乗りをタクシーとかで出来ないものかね。子持ち世帯にタクシー券みたいなの配布してさ。ああもう、送迎バスサービスとかさ、自治体が福祉でやんなよ。子供専用の送迎巡回バスとか、JRなりメトロの路線に沿って上手い具合にぐるぐる回さんかい。
うーん、費用的に難しいでしょう。議員さんは特別な仕事をしているのだから、公用車で子供の送り迎えしたって問題にはならないんじゃないかな。その分ちゃんと良い仕事してもらいましょうという考え方がやっぱり良いと思う。とさらりとKに突っ込まれる。
そりゃそうだ、分かっている。
実はこの手の話題、20年以上前の千葉県のド田舎での中学校生活を通して、小田嶋隆曰くの「マッチョイズム」をがっつり刷り込まれているくせに、その一方でマッチョを激しく憎む私にとっては物凄い鬼門だ。この類の報道を見かけるたびに、「みな苦労してこそ美しい!」という、原型をとどめないくらいに噛みちぎって吐き捨てて永久的に葬り去りたい、けれども、自分のコアに書き込まれていてどうにもまだ消しきれない”何か”との死闘を脳内で繰り広げることを強いられる。
これですわ。
20年前当時の記憶が、これまた楽しく、美しい側面も持つので、攻撃対象には矛盾を抱えた現在の自分を据え置くしかないというこの苦行。自分にたたき込まれたヘドが出るほど嫌いな思想を、どうやったら気持ち良く消せるかをアメリカ生活の中で模索中。
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気を取り直して、夕方、冷房が効きすぎて冷えびえとした近所のカフェで、赤い色の熱いお茶をすすり、本を読むふりしながらまた少し考える。
この一件が叩かれるのは、「身内を同乗させた」ということ以上に、そもそも「何やっているのかよく分からない国会議員が公用車なんか乗りやがって」という不信感が根底にあって、それが適当な出口を見つけて噴出した、ということである気もする。彼らが国民の代表者で、私たちのために頑張ってくれている、という感覚が(私に)欠けているから、不公平だと文句をつけたくなるのかも。
じゃあ一体どうしたら、政治家の活動を非・政治家である私たちが身近に感じられるのかしら。政治家の仕事っぷりを知れば、税金を出す価値があると思えるようになるのかしら。双方手を伸ばさないと、でも手を伸ばしたってまだ距離があるだろう、とか考える。正しく手を伸ばしても、まだ届かない距離を埋めるのは何の役割なのだろう?
(研究者だって手を伸ばす努力もしないで偉ぶりかねない職業の1つなはずで、非・研究者には何をやっているのか分かりにくかろうが、伝える努力はしなくちゃいけない、と考える。どうせ分からないと思った瞬間、何かが終わる。)
大統領選の年、まだ民主党も共和党も代表が決まっていなかった時、シカゴ大のラボで実験を手伝ってくれていた学部生のAlexに、「それぞれの候補はどう違うの?」と軽い気持ちで聞いたら、ものすごく事細かに一生懸命教えてくれた。それも、とっても楽しそうに!「Alexはすごい、どうしてそんなにいろいろなことを知ってるの?」と驚いて尋ねたら、「Oh No, 日本はどうやって政治の方針を決めているの?!」と逆にびっくりされてしまった。
そうねえ。
アメリカ生まれ・アメリカ育ちで20代になりたての彼女はどうやって情報を得ていたのだろう。もっと詳しく聞いておけばよかった。ああ、それゆえ今回も素敵なオチがない。
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こんなん書いていないで論文書けばいいのに、というのは、ええもう毎回のことながら軽く自己嫌悪を起こすくらいには自分で突っ込んでいます。先月半ばに恩師からメールが来て「論文どう?良い加減そろそろ出しませんか?」とやんわり促されたので、「ええ、勿論まとめます!!7月中にドラフト出します!!!」と鼻息荒く宣言したのであります。
そんな7月が始まってしまった。
写真はKのお気に入りのベーカリーClear Flour BreadのMorning buns。たくさん並んでいるパンを見ると幸せな気分になります。
ぐるぐる。
ちなみにベーカリーに行く途中に美味いインドカレー屋があって昼時は食べ放題をやっている。あくまでもわたしに体重減らさせない気かこのやろう。と吠えて、今月最初の投稿とする。